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自分を呼んでたのは、沖田だった。
「千秋さん、何処にいたんですか?芹沢先生は帰ってきたのに、千秋さんはいないから…」
沖田は眉を寄せて言う。
「…すいません。ちょっと野暮用があって…」
「野暮用って……!」
沖田は千秋の左腕を掴む。
「…痛っ!…」
「…はぁ、あれほど無茶はするなって言ったのに…」
「…あはは…」
沖田は千秋の怪我を目敏く見付けたのだ。
「でも、これくらい大丈夫ですよ。ちゃんと手当てしたし」
「…………」
千秋をじっと見つめる。
「…総司さん?」
「…なんでもありません。さ、屯所に帰りましょう。土方さんが待ってますよ」
沖田はいつもの笑顔になり、そう言う。
「あ~…そうでしたね」
土方の仕事を思い出した千秋は、顔をしかめる。
「じゃあ、行きましょう」
二人は屯所に向かって歩き出した。
―あれ?おみのさんの仲間っていう事は、稔麿や高杉は長州藩?
今頃になって気付いた千秋だった。
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