隊服―浅葱色のダンダラ―

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「…お金はどうしたんですか…?」 「…芹沢が払った」 勘の鋭い千秋は、 「恐喝紛いな事をして?」 と、目を細くする。 「チッ…そうだよ。…大阪の平野屋っつー呉服店で借金を作りやがった」 「その借金は?」 千秋は躊躇う事なく聞く。 「もう返済したよ」 近藤が答える。 「へぇ…よくそんなお金がありましたね?」 「会津からの金でな。まったく…毎度の事ながら芹沢の行動には呆れて物も言えねぇ」 「そうですねぇ」 千秋はそう言いながら歩き出す。 「千秋さん?どちらへ?」 「少し、小姓としての仕事を」 千秋は振り返って沖田達に黒い笑顔を向ける。 「土方さん…人選、間違ってません…?」 凍った雰囲気の中、永倉が口を開く。 「…言うな…永倉…!」 ―スパァン! 「芹沢先生?ちょっといいですか?」 「か、柿村…」 千秋は遠慮なく入り、 「また、借金を増やしたそうで…」 芹沢の前に立ち、見下す。 「…しかし、それはもう返済しただろう!?」 「えぇ、"近藤局長"がね」 近藤局長の所を強調して言った。
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