隊服―浅葱色のダンダラ―

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芹沢はいきなり思い出した様に手を叩く。 「柿村、わしは来月に大阪に行く。お前も行くか?」 千秋は首を傾げる。 「大阪…ですか?」 芹沢は大きく頷く。 「そうじゃ。最近、壬生浪士組の名を語った強請が多いらしい」 「それは長人の…?」 「おそらくな…」 千秋は顎に手を当てて考える仕草をした。 「分かりました。僕も行きましょう。他に行く人は?」 「新見や平間、野口等だ」 「…物足りないですね。沖田先生と斎藤先生も連れてったほうが、安心だと思います」 「ふむ、分かった。沖田と斎藤も連れて行こう」 「近藤先生には?」 芹沢は首を振る。 「まだ言ってない」 「じゃあ、僕から言っておきます」 ―芹沢先生が言ったら土方が反対しそうだし… 「よろしく頼む」 「今から言ってきますね」 千秋は立ち上がり、部屋から出て行った。 ---まだ誰も知らない これから起こる事によって   時の歯車が狂い始めるのを…
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