大阪―影―

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「……やっと着いたー…」 千秋は大阪に着いた途端に座り込んだ。 「千秋さん…こんな所で座り込まないでくださいよ」 「…沖田先生ー…疲れました……」 座り込んだ千秋は顔を下に向けて言った。 「…しょうがないですねー…ほら」 沖田は千秋に背を向けてしゃがむ。 「…沖田先生?…何やってるんですか?」 「おぶってあげますから早く背中に乗ってください」 「い、いいですよ…」 「斎藤さん」 沖田が斎藤に呼び掛けると、斎藤は無言で頷いて、千秋を楽々持ち上げる。 「斎藤先生!何するんですか!降ろしてください!」 しかし、千秋の訴えも聞かずに沖田の背中にポンと乗せる。 沖田は千秋をしっかり支え、立ち上がる。 「よっと…」 「あぁ!無理しなくて結構ですよ!」 千秋は暴れて降りようとする。 「千秋さん、暴れないでください。落としますよ?」 沖田の黒い笑顔に千秋は大人しくなった。 「…重くないですか?…」 「全然。逆に軽いくらいです。ちゃんと食べてるんですか?」 「食べてますよ!」 千秋は沖田の背中に顔を埋める。 「……………」 「…千秋さん…?」 斎藤が千秋を覗き込んだ。 「…スゥー…スゥー…」 「…寝てる…」
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