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相手が力まかせに押してくるので、受け流し距離をとった。
「別に名乗る者ほどじゃないですよ」
「我等を壬生浪士組としって盾突くのか!?」
千秋はわざと驚いたふりをする。
「へぇ~…壬生浪士組なんですか?僕も入ってますよ」
「お前のような小僧がか?ハッ笑わせる!名を言ってみろ!」
「壬生浪士組副長助勤の沖田総司です」
周りがざわつく。
「沖田総司!?」
「あの天才剣士か!?」
沖田と斎藤は驚き呆然としていたが、やがて我に帰る。
「何を…」
沖田が千秋に呼び掛けようとするが、斎藤が止める。
「待て、沖田さん。ここは柿村にまかせよう」
「お前が沖田総司?嘘をつくならもっとマシな嘘をつけ!」
「あれぇ?壬生浪士組なのに知らないんですか?…そう言えば、貴方達の事見かけませんね…本当に壬生浪士組なんですか?」
千秋は挑発するように続ける。
「…実は長州浪士じゃないんですか?」
相手は明らかに動揺している。
「…チッ…相手が悪い…引くぞ」
千秋をすっかり『沖田総司』だと思い込んだ長州浪士達は逃げて行った。
「長州浪士!?じゃあ今までの強請は…」
「長州の仕業だったのか…」
どうやら大阪の町人達の誤解は解けたようだ。
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