動き出す影

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千秋は秋夜を睨む。 「よく、のうのうと私の前に出て来れたな」 「そりゃあねぇ…僕ら兄妹じゃん?」 「ほざけ!貴様…自分の犯した罪が分かってるのか!!」 刀に手をやる。いつ抜いてもいいように。 「あれは…」 秋夜が口を開いたが直ぐに閉じた。 ―ガサガサ 「!?」 千秋は音がした自分の後ろを振り返る。 「千秋さん…やっと見付けた」 「沖田先生」 「沖田…総司…」 そこにいたのは沖田だった。 「もう…いきなり走り出したからどうしたかと……そこにいる人は?」 「えっと…」 沖田は今だに網笠を被っていて顔が見えない男を油断なく見る。 「何故…私の名前を知ってるのですか?」 ―…答えによっては…斬る… しかし、秋夜は沖田の問に答えず千秋を見て、 「千秋…壬生狼のところにいるの?」 少し悲しみを込めた声音で言った。 「…兄上には関係ない…」 「答えてくれないの?…お兄ちゃん…淋しい…」 「兄上…?お兄ちゃん…?」 沖田は秋夜と千秋を見比べて… 「ぇぇえええ!!??」 と叫んだ。
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