梅の花

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「それで? 芹沢さんに何の用なんですか?」 歩きながら女の人に尋ねる。 女の人は少し戸惑いながら答えた。 「えっと…芹沢さんに渡す物があって… おはぎ、持ってきたんです 芹沢さんに食べてもらいたくて…」 (おはぎか…沖田さんが喜びそうですね) その情景がすんなり浮かんできて苦笑した。 「…あの?」 「あ、いえ…すいません 芹沢先生も意外に甘い物は好きですから きっと喜ぶと思いますよ」 にっこり微笑む千秋を見て、少し顔を赤くさせた女の人。 「ありがとうございます」 照れたように笑いながら言った。 「そういえば、名前聞いてませんでしたね 僕は柿村千秋です あなたは?」 「梅…と申します」 そうこうする内に、芹沢の部屋に着いたようだ。 「いい名前ですね さ、着きましたよ」 失礼します。と、一声投げかけて襖を開けた。 「千秋か、早かったな」 「すいません、お茶持ってくるの忘れました それよりお客様ですよ」 「それよりって… 客か?」 梅は千秋の後ろから怖ず怖ずと部屋に入った。
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