3777人が本棚に入れています
本棚に追加
「で?この騒ぎは何なんですか?
脱走ぐらいでこんな騒ぎになりませんよね?」
土方はため息を吐き出して口を開く。
「その脱走した隊士が死体になって帰ってきたら、騒ぎにもなるだろ」
「…!」
土方の言葉を聞いた途端に眠そうだった目が鋭く光る。
しかし、そんな様子は微塵にも見せずに言った。
「へぇ~…最近の世の中は物騒ですねー」
「…あまり深く突っ込むなよ」
千秋の様子に気付いた土方は釘を刺す。
しかし、
「この僕が?
ありえない!」
「「は?」」
千秋の嘲るような態度に土方と藤堂が声を揃えた。
「僕が赤の他人に干渉するとでも?」
土方はそれを聞いてため息をついた。
(柿村はこういう奴だった…)
藤堂は苦笑している。
「まぁとにかくそんな感じですから
ご心配はいりませんよ」
くるっと二人に背を向ける千秋。
「あれ?どこ行くの?」
藤堂が素早く尋ねる。
「起きたばかりなんですよね
顔でも洗いに行ってきます」
そう言って千秋は井戸がある方へ歩いていった。
「…ほんと、好き勝手な人だな」
「…藤堂、お前…」
「はい?…ひぃっ!?」
最初のコメントを投稿しよう!