予兆

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「で?この騒ぎは何なんですか? 脱走ぐらいでこんな騒ぎになりませんよね?」 土方はため息を吐き出して口を開く。 「その脱走した隊士が死体になって帰ってきたら、騒ぎにもなるだろ」 「…!」 土方の言葉を聞いた途端に眠そうだった目が鋭く光る。 しかし、そんな様子は微塵にも見せずに言った。 「へぇ~…最近の世の中は物騒ですねー」 「…あまり深く突っ込むなよ」 千秋の様子に気付いた土方は釘を刺す。 しかし、 「この僕が? ありえない!」 「「は?」」 千秋の嘲るような態度に土方と藤堂が声を揃えた。 「僕が赤の他人に干渉するとでも?」 土方はそれを聞いてため息をついた。 (柿村はこういう奴だった…) 藤堂は苦笑している。 「まぁとにかくそんな感じですから ご心配はいりませんよ」 くるっと二人に背を向ける千秋。 「あれ?どこ行くの?」 藤堂が素早く尋ねる。 「起きたばかりなんですよね 顔でも洗いに行ってきます」 そう言って千秋は井戸がある方へ歩いていった。 「…ほんと、好き勝手な人だな」 「…藤堂、お前…」 「はい?…ひぃっ!?」
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