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「で、今日はこの道を通って…」
沖田が今日の巡察する道筋を教えている。しかし、千秋は聞いてなかった。
―刀を買って来い、かぁ…
実は刀は持った事がない千秋は持つ事に躊躇っていた。
「…で…此処…さい…」
沖田の説明は一切聞こえない。
「それでは、皆さん。行きますよ」
―おぉ!
隊士達の歓声が聞こえ、それにより、我に返る。
―あ…何も聞いてなかった…まぁいいか
千秋はとりあえず、沖田について行く事にした。
「沖田先生、巡察ついでに行きたい所があるんですけど」
「あぁ、土方さんから聞いてます。刀を買いに行くんでしょ?」
―なんだ、知ってたの…
「いつ行きます?」
「今からです♪」
―…へ?
「いやいや、巡察があるでしょう。せめて、もう少し回ってからのほうが…」
千秋は心配になる。
「大丈夫です。私の隊は利口ですから。私がいなくてもやってけます」
沖田はそう言うと、隊士達を見て、「ね?」と、笑う。しかし、瞳が笑っておらず、隊士達は頷くしかなかった。
その様子を見ていた千秋は、
―皆さん…苦労してますね…
隊士達に同情した。
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