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「沖田先生…結構、頼みましたね」
千秋は少し引きながら言う。
「そりゃあ、甘党ですから。…それより、千秋さん」
―沖田先生の場合は甘党の域を越してるよ
千秋の思っている事を知ってか知らずか、沖田は眉を寄せて前のめりに千秋を見た。
「ど、どうしたんですか?沖田先生?」
―もしかして、考えてる事がバレた!?
しかし、沖田は指差して、
「…それ」
と、言う。
「…は?」
「その沖田"先生"って止めてくれませんか?」
千秋は突然の申し出に戸惑う。
「でも、他の隊士達が…」
「ですから、二人の時だけ、総司って呼んでください♪」
「でも、僕は…」
「"僕"も禁止です!貴女は女の子なんですよ!!」
千秋はこれ以上言っても無駄だと思った。
―強引だなぁ
しかし、少なからず喜びはあった。
「分かりました。二人の時、"私"は"総司さん"って呼ばせてもらいます」
苦笑しながら言う。沖田は満面の笑みを浮かべている。
―敵わないな、この人には…
「ところで、千秋さんは何故、京都に来ていたんですか?」
団子を頬張りながら沖田は尋ねた。
「……ただ単に、一人で旅をしていただけです」
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