謎の男 吉田稔麿

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「血の気が多いですねぇ」 千秋は冷静に男達の攻撃をかわしていく。攻撃が当たらない事にいらついた男が、大きく振りかぶる。 ―ここだ 男の攻撃を交わしつつ、鳩尾に拳をたたき付ける。 「がっ!」 男が崩れ落ちる。 「まず、一人…」 千秋はニィっと笑う。次の瞬間、 「二人、三人、四人…」 凄い速さで、男達を薙ぎ倒していく。 「五人、六人…」 そして、最後の一人を倒し、 「七人…と、ふぅ」 一息をつく。そして、 「ねぇ、隠れてないで出て来てください」 と、誰もいない所に呼び掛ける。否、一人いた。 「ヒュー、凄いねぇ、君」 男が出て来た。 「誰ですか?この人達のお仲間さん?それなら悪い事をしました」 千秋はニコニコ笑いながら言う。 「こんな奴らと同じにしないでほしいなぁ。それよりさ、君はなんで刀を抜かなかったの?」 「…殺しはしたくありませんから」 千秋は男を睨む。ふざけた感じの男は隙がなく、油断ならない。 「そんなに警戒しないでよ …殺しはしたくないかぁ…面白いね。うん、気に入ったよ」 ―…? 千秋は不思議そうに見る。 「君さぁ、僕の仲間にならない?」 ―何を言ってるのでしょう、こいつは 「お断りします。僕は壬生浪士組に入ってますから。これ以上の面倒事はごめんです」
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