正体

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千秋が、吉田稔麿の事を忘れて、数日後。 「あ、千秋!何処に行ってたんだ?」 「もー、探したよ!」 声がした方へ顔を向ける。 「どうしたんですか?永倉先生に藤堂先生?」 千秋を呼んだのは、藤堂と永倉だった。 ―あれ?原田先生がいない 「あぁ、左之なら今、副長の所にいるよ」 「…何も言ってないんですけど」 ―何で人の心を読む人が多いんだろう… 「で、何の用ですか?」 千秋は二人に尋ねる。 「あぁ、そうだった。副長が呼んでるぞ」 「てゆーか、副長に呼ばれるの何回目?千秋、何やったの?」 千秋はこの数日で何回も土方に呼ばれていた。すべて、悪戯で。 「さぁ…?今回は何でしょう?土方のお菓子食べたのがバレたのかも知れません」 千秋はさらっと笑いながら言う。そんな千秋を見て、藤堂と永倉が顔を引きつらせる。 「…とにかく、早く来いだとさ」 永倉が言うと、 「わざわざ他人をよこさなくてもいいのに…。分かりました。今から行きます」 千秋は土方の部屋へ足を向けた。 「…なぁ、平助」 「何?ぱっつぁん」 「覗いてみねぇか?」 「はぁ!?そんな事したら鬼副長に殺されるよ!」 「バレなきゃ平気だって、…お前、副長が千秋に口で負けてる所、見たくないか?」 「…まぁ、見てみたいけど」 「よし、決定だ」 永倉はそう言うと、ニヤリと笑った。
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