正体

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「…柿村が女だっていう事は他言無用だ」 土方は一人一人の顔を見て言う。 「得に、原田」 「なんで俺だけっすかぁ!?」 原田は自分を指差しながら叫ぶように言う。 「うっせ、お前の口は軽そうだからだ」 土方は横目で原田を睨みながら言う。 「なんで俺だけ……」 あ、原田が隅っこでいじけてる。 「…それより副長、千秋の寝る所はどうするんですか?」 永倉が原田を無視して尋ねる。 「………あ」 ―忘れてたんかい みんなの心が一つになった瞬間だ。 「…そうだな…部屋は空いてないから…相部屋になるが…柿村はそれでいいか?」 土方が顎に手を当てながら千秋を見る。 「えぇ、別に何処でもいいですよ」 千秋はニッコリ笑いながら言う。 「そんじゃ…総司の部屋にするか」 「えぇ!?」 声を発したのは沖田。 「どうしたの?総司」 藤堂が沖田を見る。続いて千秋が、 「…不満ですか?」 首を傾かせて言う。 「いえっ!そのっ…不満とかじゃなく……どちらかと言うと…」 沖田は赤面しながら俯く。千秋以外の人達はその様子で気付いた。 ―はっはぁん… 「…?」 その事に気付かない千秋は再び首を傾げた。
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