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「まったく…貴女っていう人は…」
沖田はため息をつきながら千秋を見る。
「…何ですか?部下を守るのも上司の役目でしょう」
千秋は少し口を尖らせていう。
「…たかが蜘蛛からですか?」
「たかが蜘蛛、されど蜘蛛です」
今、千秋と沖田は二人の部屋に向かっていた。
「だいたい、蜘蛛がなんで此処にいるんですか?いつも言ってますよね?部屋は綺麗にって。得に沖田先生の部屋には、お菓子が置いてあるんですから、虫には注意を…」
このままだと永遠と話し出す千秋に、沖田は、
「も、もう分かりましたから」
呆れながら遮る。
―なんで、お菓子の事が分かったんだろう?
そんな事を考えていたら部屋に着いていた。
「…じゃあ、沖田先生、よろしくお願いしますね♪」
千秋は襖を開ける。
―なるほど、それなりに大きいですね
沖田は天井の隅にいる、蜘蛛を見る。
―外に逃がしましょうか
「…沖田先生?まさか逃がそうなんて考えてませんよね?」
千秋が凄まじい殺気が出て来る。
「ま、まっさかぁ!この場で仕留めますよぉ」
「あ、殺すのも止めてください。蜘蛛の死骸があった部屋で寝たくありませんので」
―…じゃあ、どうしろと!?
沖田の心の叫びも虚しく、
「じゃあ、がんばってください!」
と、千秋は襖を閉め、部屋から出て行った。
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