千秋の弱点

7/7

3777人が本棚に入れています
本棚に追加
/205ページ
「おいおい 蜘蛛を部屋の中で殺したくないのは分かるが、沖田君がかわいそうじゃないか 外に出してから殺すとか、思い付かないのかい?」 山南が最もらしい助言をする。 「あぁ。その手がありました。沖田先生!一旦、外に…」 千秋が襖を開けようとする。 「あ!千秋さん、今は!」 沖田がそう言ったが、時は遅く、すでに千秋が入って来てしまった。 「…………」 千秋の目の前に蜘蛛がいた。顔のすぐ近くに。 「…………」 この場が凍りつく。 「…あの~、千秋さん?」 沖田が恐る恐る呼び掛けてみる。 ―ヒュッ 一瞬の出来事だった。沖田の顔の横をを何かが通る。 沖田は首を後ろに回して、それを見る。 それは、蜘蛛を串刺しにした、千秋の小柄だった。 「「「………」」」 千秋は無言でニッコリ笑い、 「それ、沖田先生にあげます。蜘蛛の血がついた小柄なんていりませんから。そこ、掃除しといてください」 と言った後、無言で去って行った。 そして、 ―千秋(さん/ちゃん)を怒らせないようにしよう! と、残された三人はそう誓った。
/205ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3777人が本棚に入れています
本棚に追加