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「おいおい
蜘蛛を部屋の中で殺したくないのは分かるが、沖田君がかわいそうじゃないか
外に出してから殺すとか、思い付かないのかい?」
山南が最もらしい助言をする。
「あぁ。その手がありました。沖田先生!一旦、外に…」
千秋が襖を開けようとする。
「あ!千秋さん、今は!」
沖田がそう言ったが、時は遅く、すでに千秋が入って来てしまった。
「…………」
千秋の目の前に蜘蛛がいた。顔のすぐ近くに。
「…………」
この場が凍りつく。
「…あの~、千秋さん?」
沖田が恐る恐る呼び掛けてみる。
―ヒュッ
一瞬の出来事だった。沖田の顔の横をを何かが通る。
沖田は首を後ろに回して、それを見る。
それは、蜘蛛を串刺しにした、千秋の小柄だった。
「「「………」」」
千秋は無言でニッコリ笑い、
「それ、沖田先生にあげます。蜘蛛の血がついた小柄なんていりませんから。そこ、掃除しといてください」
と言った後、無言で去って行った。
そして、
―千秋(さん/ちゃん)を怒らせないようにしよう!
と、残された三人はそう誓った。
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