おみのさん―前編―

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「…で?何の用ですか?」 千秋は隣にいるおみのを見ずに、饅頭を取りながら尋ねる。 「あら、用がないと貴女に会っちゃいけないの?」 「はぐらかさないでください。わざわざ、沖田先生を帰らせたのだから、何か用があるのでしょう?」 おみのは千秋が食べようとした饅頭を取り上げる。 「あ!何するんですか!?」 取り上げられた千秋はおみのを睨む。 「人が話してるんだから、顔をみなさい」 「知りませんよ、そんな事。貴女が勝手に話してるだけでしょう?」 千秋は饅頭を取り戻すのを諦め、別の饅頭を取る。 「…貴女みたいな人は嫌いですわ」 おみのは千秋を睨む。 「奇遇ですね。私も貴女の事は大っ嫌いです」 おみのの睨みを気にせず淡々と言う。 「…猫被り女…」 「貴女には言われたくありません」 どうやら、二人はお互いの本性を見抜いたらしい。 見えない火花が二人の間で炸裂する。 「…一旦、此処を出ましょう」 「そうね。此処だと、迷惑になるから」 二人は店を出て、人気のない神社まで行った。
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