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「…で?何の用ですか?」
千秋は隣にいるおみのを見ずに、饅頭を取りながら尋ねる。
「あら、用がないと貴女に会っちゃいけないの?」
「はぐらかさないでください。わざわざ、沖田先生を帰らせたのだから、何か用があるのでしょう?」
おみのは千秋が食べようとした饅頭を取り上げる。
「あ!何するんですか!?」
取り上げられた千秋はおみのを睨む。
「人が話してるんだから、顔をみなさい」
「知りませんよ、そんな事。貴女が勝手に話してるだけでしょう?」
千秋は饅頭を取り戻すのを諦め、別の饅頭を取る。
「…貴女みたいな人は嫌いですわ」
おみのは千秋を睨む。
「奇遇ですね。私も貴女の事は大っ嫌いです」
おみのの睨みを気にせず淡々と言う。
「…猫被り女…」
「貴女には言われたくありません」
どうやら、二人はお互いの本性を見抜いたらしい。
見えない火花が二人の間で炸裂する。
「…一旦、此処を出ましょう」
「そうね。此処だと、迷惑になるから」
二人は店を出て、人気のない神社まで行った。
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