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―ドスン!
辺りに土埃がまう。
「少しは賢い選択をしてみてはどうですか?」
手をパンパンと叩き、中田に近付く。
「くそっ!」
中田は立ち上がろうとするが、痛みで上手く立ち上がれない。
千秋はしゃがみ、中田を見て、
「中田さん、あなたは親や親しい人はいますか?」
と、尋ねる。おみのはそれを驚いたように見る。
「…そんなもん、いるわけねぇだろ」
「…では、周りの子分達の事は大事ですか?」
中田は驚愕な顔をして、千秋を見て、少し間が空いた後に口を開く。
「…大事に決まってるだろう」
「ですよね。そして、この人達も貴方の事を慕っているようです」
中田とおみのは千秋を見る。
「…何が言いたい?」
「命は大切にしてください。何があっても。貴方は大切な人達を残して死ぬつもりなんですか?残された人達の気持ちも考えずに」
「………」
おみのは千秋を見つめる。千秋は普段の笑顔で言ってるが、その瞳は憂いを帯びている。
「相手が僕で良かったですね。他の浪士組の隊士だったら、貴方だけじゃなく、周りの子分達も切り殺されていましたよ」
千秋はそう言い、立ち上がる。
「…浪士組!?あんた壬生浪だったのか!?」
千秋はその言葉を無視する。
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