おみのさん―前編―

9/9

3777人が本棚に入れています
本棚に追加
/205ページ
千秋とおみのが屯所に着くと、沖田が出迎える。 「千秋さん!大変で…す……」 慌ていた沖田はおみのの顔を見て、一瞬青ざめる。 「…どうしたんですか?」 千秋が首を傾げて尋ねる。 「それじゃ、千秋さん。私はもう行くわね」 おみのが千秋に断って、行ってしまった。 「…何か用ですか?」 「…千秋さんはおみのさんと親しいのですか?」 沖田はいつもの笑顔に戻って尋ねる。 「親しい…う~ん…親しいんでしょうか…でも、仲がいいと言う訳では…」 千秋は悩みながら言い、 「だからと言って、嫌いな訳でも……他人以上、親友未満、みたいな?」 そう、笑顔で沖田に返す。 「そうですか…」 「それより、用があったのでは?」 「…いえ、やっぱりいいです」 沖田はニッコリ笑う。 ―言わない方がいい… おみのさんが… 長州の間者かもしれない事を…
/205ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3777人が本棚に入れています
本棚に追加