おみのさん―後編―

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―深夜― 暗い闇の中、橋の上に立っている男女がいた。 「…で?報告は?」 男の方は少し派手な着物を着ていて、漆黒の髪は短髪、そして、口から煙が出ているあたり、煙草を吸っているのだろう。 「はい。…得に動きはないようです」 女はとても美しく、しかし、忍のような姿をしている。 「そうか…稔麿が言っていた例の隊士はどうだ?」 「…恐ろしく腕が立ちます。仲間に引き込めばかなりの戦力になるかと…。しかし…」 女は煙を嫌うように顔をしかめる。 「吉田様が言った通り、無駄な殺生は嫌ってるようです」 その言葉に男は反応する。 「ふっ…おもしれぇ…そいつが人を殺すところを見てみたいな」 「………」 「…お前は引き続き奴らの様子を見ていろ」 男は煙を吐き出しながら指示をだす。 「おおせのままに… 高杉様」 そう言うと男女はそれぞれ、反対の方向へ歩きだす。 それを陰で見ていた者がいたとも知らず…
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