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「ちょいといいでっか?」
遮ったのは山崎だった。いつものふざけた様子を見せずに部屋に入る。
「どうした、山崎?」
「奴さんの尻尾、とうとう掴みましたで」
その言葉に部屋の空気が変わる。
「本当か!?山崎!」
「えぇ、証拠が仰山」
山崎は懐から紙の山を取り出す。
「…これは…密告文ですね」
沖田はその内の一枚を取って見た。
「…でかした、山崎…これで、今夜にでも粛正できる」
土方はニヤリと笑う。恐らく、この場に藤堂や原田がいたら凍り付くだろう。それほど恐ろしい笑みだ。
「…土方さん…千秋さんは…」
沖田は心配そうに土方を覗き込む。
「…わかった。今回だけだぞ」
ため息をつき、続いて顎に手を当て、
「しかし、穴はどうするか……」
と考える。そこで、山崎が、
「永倉さんはどないですか?」
「…永倉か…あいつなら腕が立つからな…」
土方はしばらく唸ってい たが、他に思い付かなかったらしく、やがて口を開く。
「…よし、暗殺は今夜決行する。人は総司と永倉。それで異存はないな?」
山崎と沖田はコクンと頷く。
「…永倉には俺が言う。総司は永倉を呼べ。山崎は奴を見張っておけ。
今夜、おみのを斬る」
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