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―夜―
副長室で六人の男が集まる。
「永倉君、総司。準備は整ったかね?」
威厳のある喋り方の近藤。
「相手は女だからといって油断は禁物だよ」
優しそうに、しかし、悲しそうに言う山南。
「てめぇら、ヘマすんなよ…?」
厳しく感情を押し殺したように言う土方。
「分かってますよ。俺はそこまで馬鹿じゃありません」
普段のちゃらけた感じがしない永倉。
「気ぃ付けてください。俺と同じ忍なんで」
いつもより少し、真面目な山崎。
「大丈夫ですよ、みなさん。…それじゃ、そろそろ行きますか」
こういう時でも笑顔を崩さない沖田。
そうして、永倉と沖田は立ち上がる。
沖田が襖を開ると、雨がいつのまにか降っていた。
―雨…ですか…
二人は闇に紛れた。欠点を残して…
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