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「…強いなぁ…」
「…おみの…さん…」
倒れたのはおみのだった。
千秋は直ぐにおみのの側へ行く。
「…おみのさん…どうして…?…どうして…クナイを捨てたんですか…?」
そう、おみのは千秋と斬り交わる前にクナイを手から落としたのだ。
「…ゴホッ…私…壬生浪も…好きだった……グッ…」
おみのは息絶え絶えに話し出す。
「………」
千秋は耳を澄ませて、聞く。
「…あの馬鹿達…言ってる事…目茶苦茶だけど……ゴホッ…志だけは……立派だった…ッ……私まで惹かれた…からなぁ…」
自嘲するように微かに笑う。
「…考えてる事…同じだった…高杉様と…ゴホッ……だけど…やっぱり…敵同士なんだよ……相容れられない……」
「…もう分かりましたから…しゃべらないでください…」
千秋は今にも消えそうな命の灯を逃がさないかのように、おみのの手を握る。
「…私を…斬って…ッ…くれた…人が…あんたでよかったわ……」
「……………………」
千秋は無言で必死に手を握る。
「…最後に…頼んで…良い…?」
「………はい」
「…お菊は…藤堂さんの…事が…好き…みたい…だから………私の…変わりに…ハァッ……応援…し…て…」
「………分かりました…」
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