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「……ち…あき…」
「……何ですか…?」
「……た……」
おみのは最後の力を振り絞るが、千秋には聞き取れない。
「何…?もっと…はっきり…言ってくださいよ…」
千秋は必死に口の動きで読み取ろうとするが、微かな動きでよく分からなかった。
「……………」
おみのの手が千秋の手から力なく滑る。
千秋は黙って立ち上がる。そして、その場から去って行った。
おみのも脇差しも雨に打たれている。
そして、千秋もまた、雨に打たれながら屯所に向かった。
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