おみのさん―後編―

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「二人だけですか?」 千秋がいつもの笑顔で尋ねてくる。 「はい。どうせこの雨ですし、今夜は攘夷志士なんて出ないでしょうから」 沖田もいつもの笑顔で返す。 「…そうですか。それなら私は邪魔ですよね。帰ります」 千秋が沖田と永倉の間を通る。 「……!」 「…では、お気をつけて」 「おう、千秋も熱出さないように、さっさと帰ろよ」 永倉の言葉にニコッと笑って、行ってしまった。 「…総司?…どうした?」 「…いえ、何でもありません。行きましょう」 ―気のせいでしょうか…? しばらくすると、あの匂いがしてくる。 「…総司、この匂いは…」 忘れもしない、この生臭い鉄の匂い…。 「…えぇ、恐らく誰かが斬られたのでしょう…急ぎますよ」 二人は加速する。そして、見た物は……。 「…これは…!」 「…おみのじゃねぇか!」 二人が見たのは血塗れの、息が絶えたおみのだった。 「…この脇差し…」 沖田はそこに残っていた血塗れの脇差しを拾う。 「…その脇差しがどうしたのか?」 永倉が覗き込むように見る。 「…いぇ。それより、この事はどうしますか?」 沖田は血塗れの脇差しの血を懐紙で拭く。
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