おみのさん―後編―

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「あぁ。ひとまず、副長に報告だ」 永倉は事切れている事を確認して、立ち上がる。 「…そうですね…」 沖田はおみのの死体を一瞥し、踵を反す。 二人が行った後、一人の男が現れる。 「おみのよう。お前のおかげで、あいつが人を斬った所、見れたぜ」 男は少し、悲しそうに呟く。そして、空を見上げる。 「雨、止まねぇかなぁ…」 「土方副長、今、戻りました」 沖田と永倉は土方の部屋にいた。 「ご苦労だった。首尾のほうは?」 土方は沖田と永倉に向き合う。 「私達が粛正する前に、既に何者かに殺されてました」 沖田が答える。それを聞いて、土方が眉を潜める。 「…殺されてた…?いってぇ、誰が…」 「そこまでは…」 永倉が言おうとしたが、沖田に遮られる。 「…恐らく、千秋さんかと…」 「「!?」」 土方と永倉は沖田を見る。 「…そこに脇差しがありました」 沖田は拾った脇差しを出す。 「これは千秋さんの物です。それに…その前に私達は千秋さんと会いました。その時、微かに血の匂いが…」 「そうか、道理であいつ、びしょ濡れだった訳か…」 土方は顎に手を当てる。永倉は今だに信じられない、という顔だ。 「…二人はご苦労だった。もう休んでいい」 「…土方さん…千秋さんは……」 沖田と永倉は土方を見る。 「それは明日にする」 「「…分かりました」」 二人は副長室から出て行った。
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