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「…なんですか?」
千秋は三人に近付く。
「千秋は聞いた!?その…」
藤堂は躊躇いがちに言う。しかし、そんな空気を読まずに、原田が続いて話す。
「女中のおみのが殺されたんだ!」
「ちょっ!左之!!!」
藤堂が原田を睨む。永倉は千秋の様子を伺っているようだ。
「あぁ…その事ですか。知ってますよ。朝から隊士達が騒ぎ立てますし」
千秋はいつもの笑顔で言う。それを見て、原田と藤堂が呆然とする。
千秋はそんなのお構いなしに続ける。
「昨日の夜に長州藩士に殺されたそうで。…先生達も気をつけてくださいね」
そんな千秋の態度に藤堂がキレる。
―ガッ!
藤堂は千秋の胸倉を掴む。
「千秋!お前っ…それでいいのかよ!?なんで笑ってられるんだよ!?」
「ちょっ!平助!」
「平助!止めろ!」
永倉と原田が慌てて止めようとする。
「お前は仲が良かったんじゃないのか!?お菊ちゃんなんか…泣いてたんだぞ…!?」
藤堂は震える声で話し続ける。しかし、千秋はいたって冷静に藤堂を見る。
「…それがどうしましたか?私はお菊さんではありませんから」
―バシン!
「「平助!!!」」
「…ッ…」
藤堂は千秋を平手打ちをした。
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