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「…見損なったよ…お前がそんなに薄情者だったなんてな!」
藤堂はそう吐き捨て、何処かに走って行ってしまった。
「お、おい!平助!」
原田は一瞬、千秋を見るが、
「…いいですよ。彼を追いかけてください」
「…悪ぃ…!」
と言って、藤堂を走って追いかけた。
「…永倉先生は追わないんですか?それとも、あなたも私の事、責めます?」
千秋は殴られた頬をさすりながら尋ねる。
「………」
永倉は無言で首を横に振る。そして、口を開いた。
「…千秋はおみのと仲が良かったんじゃないのか?」
「…まぁ、良くないと言えば嘘になりますね」
「…じゃあ、なんで泣かないんだ?」
「永倉先生は知ってるでしょう?おみのさんは長州の間者だった」
「………」
永倉が何も返して来ないので、千秋はそこから去った。
「…複雑だな……」
永倉はそう呟く。すると、一人の隊士が近付いて来た。
「永倉先生、土方副長がお呼びです」
「あぁ、分かった」
一方、藤堂と原田、沖田、斎藤、その他の組長と千秋も、土方に呼ばれ、副長室に向かっていた。
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