事件後

6/10

3777人が本棚に入れています
本棚に追加
/205ページ
「……集まったか?」 土方は集まった人達の顔を見渡す。 「全員知ってると思うが、おみのの事だ」 それを聞いた藤堂は眉を寄せ、千秋を見る。 視線に気付いた千秋がニコッと笑う。それを見て、思わず目を逸らす。 ―だいたい、なんで千秋までいるんだよ… 藤堂は心の中で悪態をつく。 「実は、おみのは間者だった」 千秋と永倉、沖田以外の全員がそれを聞いた途端に騒がしくなる。もちろん、藤堂も例外ではない。 ―何だよ…それ…嘘だろ…? そこで、ハッとして千秋を見る。 ―まさか…この事を知ってたのか…!? 千秋は表情を崩さずに事の成り行きを見守っている。 「…静かにしろ!組長ともあろう者共がこれくらいで騒ぐんじゃねぇ!」 土方の怒鳴り声に一気に静かになる。 「だから、粛正した。おみのを斬ったのは、沖田と永倉だ」 皆の視線が沖田と永倉に注がれる。 しかし、二人は物おじせず黙ってる。 そして、また騒がしくなる。 「静かにしろっつってんだろ!…この事は平隊士には言うなよ。…話は終わりだ、解散しろ」 それを聞いた各組長が立ち上がる。藤堂も立ち上がるが、 「沖田と永倉、原田、藤堂、斎藤、それから柿村!お前らは残れ」 と言う、土方の言葉に座り直す。
/205ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3777人が本棚に入れています
本棚に追加