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「いい加減にしてくださいって言ったんです。 理解してくださいよ。私がおみのさんを殺した事を」
「…じゃあ何で…」
藤堂はそう言いかけるが、土方に止められる。
「止めろ、藤堂。…柿村は、何でおみのが間者と分かった?」
土方は千秋を鋭く睨む。
「…毎晩、人が屯所から抜け出す気配がありました。それに付いて行ったんです」
「…………」
その場にいる全員が千秋の言葉に耳を傾ける。
「最初は誰だか知らなかったんですけどね。昨日斬る時に初めて顔を知ったんですが…」
脇差しもその時に置いてきました。と、付け足す。そして、永倉と沖田を見て、
「…まさか、永倉先生と沖田先生と会うなんて思いもしませんでしたよ」
と言って、苦笑する。
―そろそろ限界だな…
千秋はそう思い、立ち上がり、
「私の話は以上です。処分はそっちで勝手に決めてください。じゃあ、失礼します」
そう言って部屋から出て行く。
「あっ…千秋さん、待ってください!」
沖田が追おうとするが、藤堂によって塞がれる。
「総司!何であんな奴を追うんだよ!?あんな…親しい人を斬って平気で笑ってられる奴を!?」
「…藤堂さん…千秋さんが本気で笑っていると思いますか?」
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