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「…ハァ…ハァ…」
千秋の荒い息遣いだけが聞こえる部屋の中で沖田は心配そうに千秋を見る。
「………千秋さん……」
千秋は三日も目が覚めずにいた。
―…カラ
襖が開く。
「…総司…千秋は…?」
沖田は襖の方を向く。いたのは藤堂だった。
「…まだ目覚めません。熱も一向に下がらないし…」
それを聞いた藤堂は落胆する。
「…そっか…」
藤堂は襖を静かに閉め、沖田の隣に腰を落とす。
しばらくすると、藤堂が口を開く。
「…俺、千秋に酷い事を言った…だから謝ろうとしてるのに…」
沖田は横目で藤堂を見る。藤堂は眉に皺を寄せ口をつぐむ。
「…大丈夫ですよ。千秋さんなら笑って許してくれます。一回、刀を抜くかもしれませんが……」
「…総司…有り得そうだから言わないで……」
沖田が笑って言うと、藤堂は青ざめる。
「…さ、千秋さんの事は私に任せて、藤堂さんは原田さんをみててください。あの人が来たら、煩くなりますから」
「…そうだね、じゃあ任せたよ」
そう言って、藤堂は部屋から出て行く。
―パタン…
そして、再び静寂が蘇る。
「…いい加減、目を覚ましてくださいよ。皆が心配してるんですから」
沖田は熱のある千秋の額に水で濡らした手ぬぐいを変え、千秋の手を握った。
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