家出の方法

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      脱出用の魔法陣は、何者かに城を攻められた時など、場内の者がすぐさま城外に転移できるように幾つか設置されている。 此処はその一つだが、シグ家と執事達しか知らない場所だ。 だから、すぐには見つからない…他にも幾つもあるしね。 さて、この魔法陣は少しばかり問題がある。 一つは脱出用なので、此方には戻ってこられない事と、もう一つは、城が攻められた時くらいしか使わない、本当に緊急の時の物なので、近隣には転移出来ない事だ。 近くに転移すると、敵がいるかも知れないからね。 「…どうしよう」 そう言えば、何処に転移するか考えていなかった。 ……適当でいいか。 僕は魔法陣の上に立ち、目を閉じる。 この魔法陣はあくまでも脱出用なので、予(あらかじ)め魔力が込められている。 だから魔力は注がなくても良い。 「…【彼方へ】」 僕は転移の言葉を呟く、敢えて場所指定はしなかった。 正直、ガイルが飛んで行った方向でなければ何処でも良いんだ。 魔法陣と四方のオーブが眩く輝き、僕は光の中に消えた。      
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