拾い者

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      ーーガサッ 草が揺れる音がした。 自然にと言うより、今の音は人為的だ。 音がした茂みの方を見ていると、白い蝶々がヒラヒラと飛んでくる。 それを追うように、何かが茂みから飛び出してきた。 「っ……………」 茂みから出てきたのは、何とも小汚いちびっ子だ。 泥に汚れてボロボロだが、元は質の良さそうな銀の毛皮のローブを着て、フードを被っている。 「っ……っ……」 ……蝶を捕ろうとしてる? なんだか腕を必死に伸ばしているみたいだ。 此方には全く気づかず、飛んだり跳ねたりして蝶を追いかけているちびっ子を、僕は呆然と観察する。      
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