第一章

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結衣は何のためらいもなく2階の教室に行こうとしたのだが、靴紐の色の違い、また周りの鼻に付くような視線を感じて慌てて3階まで上がって来たのだった。 朝に全速力で走ったこともあって今の結衣の姿は見るに見かねる。 ちなみに1年生は赤、2年生は青、3年生は緑、という学年ごとの色があり、靴紐はそれが最も区別の付きやすいものである。 「3階なんて、1階の図書室からかなり離れてるじゃない……!」 現在も流れに沿って歩く生徒達の中に溶け込めないまま、ぶつくさ文句を言っているところで、結衣の背後からよく知っている声が聞こえてきた。
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