デート

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「駄目じゃないか。こんな所で喧嘩なんかしちゃ」 文次郎と留三郎はまだ睨み合っていた。 どうしてこの二人は仲が悪いんだ。 仙蔵が近寄ってきて土井を見回した。 「さすが土井先生ですね。女装も完璧だ」 あんまり嬉しくはなかったが土井は素直にありがとうと答えた。 「先生。出ましょう」 そう言って利吉は土井の手を引っ張って出て行った。 「デートだな」 仙蔵が腕を組んでそう言った。 「えっ、土井先生が!?」 「どう考えてもそうだろうな。気付かなかったのか。伊作」 「だから女装してたんだー。利吉さんってカッコイイもんね」 「お、おい。伊作!?」 留三郎がぎょっとなった。 「ここにいる馬鹿どもとは大違いだな」 「馬鹿って俺達の事か!?留三郎はともかく俺は馬鹿じゃないぞ!!」 「おい、テメー。俺はともかくってなんだよ!?」 また殴り合いになってしまった。 「土井先生達が羨ましいな。伊作」 「そ、そうだね」 伊作は苦笑いで答えた。
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