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しばらくして、急に先頭を歩いていた光太朗の足が止まった。あまりに急だったので、後ろを歩いていた僕と真衣ちゃんは豪快にぶつかってしまった。当の光太朗は前を見つめ、口を大きく開けている。
「イタタタタ……。もう、光太朗くん。いきなり立ち止まらないでよ。後ろに2人歩いてるんだから。」
真衣ちゃんのそんな言葉を無視して、光太朗はある言葉をポツリとつぶやいた。
「……今、木の上に女の子がいた」
「え?女の子?」
ポツリとつぶやいた言葉を真衣ちゃんが聞き直す。光太朗がこっちを向いてもう一度その言葉を言った。
「今、木の上に女の子がいたんだよ」
「そんなの普通じゃん。それがどうしたの?」
僕が言う。このへんに住んでる子は男の子女の子関係なく楽に木に登れる。さすがに身長とか体力の影響もあって、登れるのは小学校3年生くらいにはなるけど。でも、そんなに運動神経が悪い子以外は普通に木に登れる。
「いや、そりゃそうなんだけどな……。何かそんな感じがしなかったんだよ」
なんだか落ち着かない口調の光太朗。動揺してるようにもとれそうだった。そして頭をブンブンと振った。
「いいや!探検を続行するぞ!」
頭を振ったのは考えを捨てるためだったんだろう。勢いよく光太朗が叫ぶ。そして、僕たちの声を聞かないうちにまた歩き出した。
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