未明の森

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また歩き出す。10分くらい歩いたところで真衣ちゃんが「きゃっ」という声をあげてその場にお尻をついた。 「どうしたの?」 急いで近付き、真衣ちゃんを起こしながら僕が聞く。 「今、目の前を小さな女の子がすごいスピードで通り過ぎたの……」 また女の子。 「どういう感じの子かわかる?」 僕が聞くと真衣ちゃんは首を振った。 「ううん。一瞬で通り過ぎちゃったから。あんまりにもビックリして思わずしりもちついちゃった」 照れながら真衣ちゃんはそう答えた。その様子を見ながら光太朗がブツブツとつぶやく。 「ちぇっ……。何なんだよ。オレより先に森の探検をしてるヤツがいたのか」 「そういうわけじゃないと思うけど」 光太朗以外に堂々と森の中を探検しようとする小学生がどこにいるだろうか。人数が少ないから小学校の生徒はある程度わかるけど、そんな行動力に溢れた子は知らない。
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