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「ヘヘッ。未明の森(みあけのもり)だよ」
「え~!?あそこは子供達だけで行っちゃいけないって先生言ってたよ!」
真衣ちゃんが嫌がる。
『未明の森』というのは、ここから歩いて30分くらいのところにある大きな森のこと。森の中心には長い間ここを守ってきた御神木もある。1000年以上立っているらしい。
とても広くて、迷子になる子供が多いから、子供だけで行ってはいけないと、学校の先生に毎年夏休みの前にきつく言われる。
「あんなのムシ!オレは絶対、夏休み中に未明の森を完全制覇するんだ!」
そう言うと、光太朗は僕と真衣ちゃんの腕をがっしりと掴んでズンズン未明の森へ歩いていった。
光太朗は学校のリーダーみたいな子で、時々先生達を困らせることをする。そして、その時には必ず僕と真衣ちゃんを一緒に巻き込む。
僕と一緒に巻き込まれる真衣ちゃんも、イヤって言いながら光太朗と一緒にいつも楽しんでいる。あんまりそういうことはしたくない僕とは対称的だった。
これから行く未明の森は、ちっちゃい頃に一度だけお母さんと中に入ったことがある。どこまで行っても似たような木ばっかりで、お母さんの手を離したらすぐに迷ってしまいそうだった。
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