第一章

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「美月、大丈夫か?」 「怖かった。」 「どこも何ともないか?」 「うん、大丈夫、これからどうしたらいいのかな?このままじゃ別れられないよ」 「大丈夫だ。俺が守ってやるから」 「先輩、ありがとう。」 「立てるか?」 「うん」 私は立ち上がった。 「ごめんなさい。痛かったでしょう」 先輩の口から血が出ていた。 「こんなの何てことないよ。」 「また巻き込んじゃった。」 「そんなに気にするな。じゃあ、俺そろそろ行くよ。」 「はい」 「俺のマンション自由に使ってくれていいから」 「ありがとう、先輩、これ」 「何?」 「夕方はここにいると思います。父の会社の地図です。」 「了解、練習終わったら行くよ」 「はい」 「あまり考え込むなよ」 「はい」 「じゃあな」 そう言って先輩は去っていった。 私は家に入った。 家に入ると弟の瞬からの置手紙があった。 『姉さんへ 親父たちは、温泉旅行に行くって言って出て行った。 そこに置いてあるお金で過ごすようにだって、半分は俺がもらうから、飯は適当に済ませるから俺のこと気にしないでいいよ。 PS、お金サンキューな             瞬』 本当にうちの両親は毎度の事ながら勝手なんだから、いつも二人でフラフラといなくなる。 私は部屋に戻り、シャワーを浴びに浴室に入った。 浴室の鏡に映った体は優也がつけたキスマークやあざだらけだった。 シャワーから出て準備をして、先輩のマンションに行った。 夕方まで眠ることにした。 それから父の会社のトレーニング室で筋トレをして、体育館で一人で練習した。
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