918人が本棚に入れています
本棚に追加
えっ
「私?冗談でしょう。無理だよ。翔が良く知ってるでしょう。私が2年前全日本に入れなかった理由」
「知ってるよ、でもうわさで治ったって聞いたよ」
「今のところは、治ってるけど、前みたいには無理だよ。」
「俺がコーチしてやるから」
「・・・・」
「去年のインカレの試合見たよ。辞めたはずのお前が出てたから、驚いたよ」
「確かに、バレーは続けてるけど、今は楽しくやれればいい」
「本当にそう思ってるのか?」
「・・・何でもお見通しって訳ね。」
「当たり前だ、あれだけ、頑張ってたお前知ってるし、いつかって気持ちがあるから肩治したんだろう」
「それはそうだけど、そんな簡単なことじゃないよ」
「まずは、インカレで優勝だ」
「う・・・ん」
「今日から早速鍛えてやるよ」
「お手柔らかに、私はいいとしても、他のみんなは厳しい練習には慣れてないと思うから」
「了解」
「正直なところ、コーチが来てくれる事は嬉しいよ。今は私が全メニュー作って教えながらの練習だから、限界があって」
「そう言ってもらえると俺も嬉しいよ。正直、お前の反応見るのが怖かったから、元彼がコーチに来たりするのはイヤなんじゃないかと思ってたから」
「嫌も何も学校が決めたことだから」
「そうだな、それにしても昔と変わらないな、その厳しい口調」
「そうかな、まあ、人間ってそんなに変われるもんじゃないからね」
「ところであいつとまだ付き合ってるのか」
「今、別れ話の最中、なかなか別れてくれなくて」
「もしかして、お前の顔のあざは別れ話が原因か」
「よく解ったね。もう解らないはずだけど」
「解るよ。」
私は手鏡を出して顔を見た。
「本当はこんな顔で学校にはきたくないんだけど、そう言う訳にもいかなくて」
「大丈夫なのか?」
「うん、守ってくれる人がいるから」
最初のコメントを投稿しよう!