第二章

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「だよな、スパイク力があそこまで落ちてるとは思わなかったから」 「けどさ彼女肩壊してたんだろう。加山監督が言ってたの聞いたんだけど、再起不可能だって、才能が有りすぎるからだって、お前と付き合ってた頃腕動かすことすら無理かもって」 「その話本当か」 「お前知らなかったのか」 「初めて聞いた。リハビリすれば良くなるって」 「お前に心配かけたくなかったんだろうな」 「それにあの頃の俺には美月を思いやる余裕なかったから」 「美月ちゃんは再発恐れてわざと抑えてたんだろう」 「ああ」 「ちょっと心配だな、あんなパワーで打ち続けたらまた壊れるかもな」 「‥‥‥」 美月何でそんな大事な事俺に言わなかったんだ。 「コーチ、2セット目始めます。」 「わかった、美月」 「はい」 「さっきは言い過ぎた。肩大丈夫か」 翔が肩に触れた。 「大丈夫。私が間違ってた。本当に好きならとことんやらないとね」 さっきまでの美月の表情とはまったく別人だった。翔は複雑な気持ちで美月を見つめていた。 試合結果は惨敗だった。 この日はこれで練習は終了した。
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