第二章

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練習終了後私は肩のマッサージをするために筋トレルームに行った。 久しぶりに全力で打ったので不安だった。トレーニングルームにあるマッサージマシンに腰掛けてスイッチを入れた。 カチャッ 部屋の扉が開く音がした。 「翔、どうしたの?」 「美月が入っていくのが見えたから」 「今日は久しぶりに楽しかった。昔を思い出したよ。」 「昔?」 「うん、中学、高校もあんな風に男女交えて練習したよね。」 「そんな事もあったな」 翔と私は小学校からの幼なじみだ。ずっと気の合う仲間だった。ある時点までは、翔が高校の2年になった時私が中3で進路に迷ってるときに告白されて同じ高校に入学することを決めた。仲間から恋人になった瞬間に私の意識が変わったのかも知れない。お互い同じ夢を持っていた。だから卒業しても時間がある時は指導してくれた。 最高の恋人、最高のライバルだった。彼が全日本の候補に選ばれた時は本当に嬉しかった。私も負けていられないと思った。だから毎日遅くまで練習した。休みの時は父の会社の体育館を使わせてもらった。でも、結局私の夢は叶わなかった。
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