第一章

8/34
前へ
/148ページ
次へ
「本当に気持ち悪い」 「変質者かもな、気をつけた方がいいな」 「うん、心配してくれてありがとう」 「バッ、バーカ、美月じゃなくて男の方だよ。」 「先輩、ひどくないですか、私も女なんですけど」 私は先輩を睨みつけた。 「悪い悪い、冗談だよ。何かあったら連絡しろよ。」 先輩は少し照れたように言った。 「はい、ありがとうございます。」 「さあ、着いたぞ今日も4時間頑張るとするか」 「はい」 店の裏口から入った。 「お疲れ様です」 「オース、二人とも仲が良いね」 拓実の先輩の吉本さんがニヤニヤしながら言った。 いつものことだ、吉本さんは私が入ってきた時からいつもこんな感じだ。 私も先輩も気にしないようにしていた。 「拓、飯はいつもの所にあるから急いで食って来いよ」 「はい」 拓先輩は吉本さんには頭が上がらないらしい。理由はわからないけど・・・ 「美月ちゃんはゆっくり食べてきていいよ。今日、店そんなに混んでないから」 「はい、ありがとうございます」 2階に上がり制服に着替えた。 「美月ー、飯どれくらい食う?」 「お茶碗の半分でいいです。」 台所に行きおかずを皿に盛った。 午前2時 バイト終了 サークルのハード練習のおかげで睡魔に襲われていた。 足元がふらつく 「うわぁー、やっと終わったー」 先輩の叫び声が店に響き渡った。 「美月ーっ」 睡魔に襲われていた私は先輩の叫び声で一気に目が覚めた。 「はーい」 「終わったか」 「はい、あと少しです」 大きな鍋を洗いながら叫んだ。 階段を下りてくる足音が聞こえた。 「手伝うぞ」 「これで最後だから」 「そうか、美月」 先輩が私の顔を覗き込んだ。 一瞬私は驚いて鍋を落としそうになった。 「なに?」 「顔色わるいぞ、大丈夫か?」 「うん、大丈夫」 それから、鍋を拭いて今日のバイトは終了した。 「終わったー。美月、先に下に下りてて」 「うん、わかった。」 店の人に挨拶をして、店の外に出た。 次の瞬間、目の前が真っ暗になり足元がふらついた。 近くにあった壁に寄りかかった、でもそのまま気を失ってしまった。
/148ページ

最初のコメントを投稿しよう!

918人が本棚に入れています
本棚に追加