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「ようやく来たか」
「魔王様……よく考えてみれば、あいつはニコとミーシャがいる部屋が分からず、迷っていただけでは?」
「なるほど、それなら仕方ないな……」
魔王様、納得と同時にちょっと安心。
「し、仕方ないな……迎えに行ってやるか」
エリスがエレベーターの前に行くと、ちょうど着いたようだ。
チーン
エリスはアレクに遅かったな、とか やっと来たかなどの憎まれ口を開くつもりだったが
エレベーターが開いた瞬間、そんな気は失せてしまった。
「なっ………。」
中にいたのは、何故か顔を赤くして、俯くアレクと、胸が当たらないようにおぶさるミーシャ。
その横でニコが笑っていた。
「…………。」
「…………。」
「あははっ…」
アレクがミーシャをおぶっているのを見て、エリスの眉がピクッと上がる。
そんな魔王様の気持ちを知らず、空気の読めないニコは
「あ、魔王様~聞いて下さいよ。 アレクお兄ちゃんがね~……」
ニコはあほ毛を揺らし、エリスにさっきのことを言ようとする。
「ニコ! 言わないで!」
「ふみゅっ!?」
勇者、必死でニコを羽交い締め。
どこからどう見てもアレクがニコを抱き締めているようにしか見えない状態にエリスは静かに怒りを貯めていく。
更に、何か隠し事をされていることに腹が立ってくる。
そんなアレクの行動を見て、ミーシャは悔しそうに
「……やっぱり、変態だったにゃ…」
「ミーシャ!?」
猫の発言で、魔王様の堪忍袋の尾が切れた。
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