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「そ……そうなのかにゃ?」
ミーシャも、まんざらでもないのか、伺うように上目でアレクを見る。
「ご、誤解だって!」
「な~んだ、つまんないの~」
「にゃ、紛らわしいにゃ……」
「……とにかく、速く上に行こう。 これ以上遅くなったらエリスに殺されそうだ」
あの時、かなり機嫌が悪かったし……。
「ん~、あたしは速く行きたいんだけど、ミーシャが……」
「歩けないのにゃ……」
「どうして?」
見たところ、外傷は見受けられない。
ニコはあほ毛を揺らし、アレクのせいだと指摘する。
「そんなの、お兄ちゃんがミーシャの尻尾を握ったからでしょー」
「尻尾を握られると、しばらく力が入らないのにゃ……」
それはごめん と頭を下げて、ポンッと手を打つ勇者。
「じゃあ、俺がおんぶしてあげるよ」
「なるほど~」
ミーシャはまだ少しアレクを信用しきれてないのか、警戒ぎみに
「に……わかったにゃ……」
おずおずとアレクの首に腕をまわす。
「立つよ?……よいしょっと」
自分より少し低いくらいの身長なのに、彼女は異常に軽かった。
「わにゃ!」
「あはは、乗り心地はどう? ミーシャ」
乗り心地って……。
「……まあまあ、にゃ」
「う~ん、そっか……」
勇者はなんとなくショックを受けた。
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