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「……………。」
声が出なかった。
左に純白の羽、右に漆黒の羽。
驚きもあった…が、それ以上に本来、異質に見える筈の左右非対照のそれが美しく映った。
「黙ってないで、何か言ったらどう?」
リュネはリアクションが無いことに腹が立つのか、そんなことを言ってくる。
何かって、言われても……。
リュネの姿をじっくり見る。
翼を見せるためとは言え、下着姿になっている彼女は、女の色香をこれでもかというほど放っている。
「…えっと…、直視しづらいね…」
「やっぱり…気味悪いわよね……」
会話の流れで、リュネは自分の羽のことを言われていると思った故の答えだった。
アレクもそのことに気づいたようで
「あっ、違うよ。 “それ”じゃなくて、リュネの体がって意味」
どういう意味かわからず、ポカンとするリュネだったが
「……………なっ!」
さっきのように自分の体を抱きしめ、さらに翼を使って隠してしまう。
「変態! あんたの頭ん中、ピンク色なんじゃないの!?」
おそらく顔を真っ赤にして叫んでいるだろう。
普段の彼女からは想像つかない取り乱し方に、ついつい笑ってしまった。
「な、何が可笑しいのよ!?」
「いや…リュネが意外にも、うぶだから」
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