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「うぅっ……痛い」
受け身を取れず、体を打ちつけたのに、“痛い”だけで済んでいるのは流石と言うべきだった。
「まったく、あんたの体、どうなってるのよ?」
軽くため息を吐きながら、リュネが歩み寄ってきた。
「そんな言い方したら、まるで俺が化け物みたいじゃないか」
「そ。プラス変態よ」
「……………。」
軽く落ち込んだ。
リュネはそんなアレクを気にせず、続ける。
「そもそも、あんたのせいで話がそれたのよ」
そうよ! こいつが急に変なこと言い出すから……。
「ごめんごめん……それで? 結局、リュネは何なの?」
わざわざ翼を見せるのだ、天使ではないのだろう。
「えらく直球ね……まあ、いいけど」
リュネはそう言うと、漆黒の翼だけを広げて
「これ、何の翼かわかる?」
いきなりの問いの意味はわからないが、見た目で予想して答えた。
「……………カラス?」
それを聞いた彼女は無言で近寄ってきた。
そして、広げた翼を俺の足下を振り払うと
風を切り裂くる音が聞こえたかと思うと、足元の地面に切れ目が走った。
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