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リュネは血管を浮きだたせながら、低い声で
「上半身と下半身を切り離しても“半殺し”よねぇ?」
思わずブルッと震えてしまった。
エリスと同じくらいか、それ以上の殺気が……。
「ごめんなさい。 本気でわからないんです」
リュネが恐くて、平謝りをする。
リュネはさっきのアレクの言葉が冗談などではなく、本気でそう思っているということに気づいた。
「あのね…、大体想像できない?
天使と、相反する種族は?」
「え―と、確か……悪魔?」
俺の言葉に納得したように、リュネは頷くと
「そういうことよ」
え? つまり……
「リュネは、天使と悪魔の子……?」
彼女は顔を少し反らしながら
「そうよ。 人間界じゃ聞き慣れないと思うけど、私達は堕天使…と言われているわ」
リュネが何者なのかはわかったが、腑に落ちないことがある。
「ちょっと待ってくれ、天使と悪魔は敵対関係だった筈だろ?」
そもそも、住む世界が違うのに出逢うこともない。
「100年前くらいに天界と魔界で戦争があったのは知ってる?」
「え、そうなの!? 俺は初耳だよ」
文献に載らない位の小規模な戦争だったのだろうか。
「ふん……。やっぱり、自分たちに不利益になる情報は隠ぺいしてるわね」
その“自分たち”とは誰のことを指しているかは、わからなかったがリュネは少し怒っているようだった。
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