プロローグ

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その後、皮肉にもあの夜に恐怖した世界は一気に沈黙へと向かい、 翌年2月にはほぼ全域の鎮圧を宣言する。 そして同年8月、 燃料問題を打開すべく開発を続けていたエルトラント大学教授のバルト=D=オブライエン博士が次世代気体燃料‘バルトライト粒子’を発表し今後の燃料供給安定を確率。 4年にも渡り世界を混乱させた出来事は、 科学が見いだした光と、争いが生んだ深い闇によって幕を閉じた。 そして時は戻り現代、公歴A-0020年、 あの頃に比べるとまったくもって平和になったものだ。 化石燃料が底を尽き、争いが絶えなかった日々がまだ先週のように思えるのに、 人々は何事もなかったかのように日々を過ごしている。 …。 そう言えば、これもあの時からだったかな… 俺はおもむろに右目にかかる髪にそっと手をそえる… 後ろを振り返り映るガラスで、 俺は確認するかの様に髪をめくり上げた。
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