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『ピッ ピピピピピピピ…』
『ガチャッ。』
不意に、いつセットしたかも分からない目覚ましの音が部屋中に鳴り響く。
自分の寝ぞうにはいつも驚いてしまう。
だが、そんな事に気をとられている暇は無い。
ベッドから起き上がるとすぐさま顔を洗い支度を済ませ朝食を作る。
それが俺の日課だった。
お陰で家庭科の成績で評価5を逃した事はない。
そうしていつも作り終る頃に、
タイミングよく婆ちゃんが起きて…。
「おや、イチ坊(俺の名前、本名は赤柴 イチル)今日は学校かぃ?」
ホントにいつも通りだな…。
「当たり前じゃん、今日、水曜日だよ」
「ありぁ? そうじゃったかな?
ふぇっふぇっふぇ、
歳はとりたくないものじゃのぉ~」
この少しとぼけた婆ちゃんは 柿田 トキ(推定100+a歳)
俺の遠い親戚で、
戦争孤児だった俺を唯一引き取ってくれた恩人だ。
「同感だな。
んじゃ遅刻しない内に
行ってきや~す。」
「何じゃ、もうそんな時間かい?、気ぃ付けてな。」
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