遅雲

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宿舎からは少し遠い郊外に佇む民家 電話で話した時には、物腰の柔らかい婦人が対応してくれた ここなら、君は幸せになれますよ 逃げ回るポンナムを押さえつけて、ベルを鳴らせば 中からは人の良さそうな婦人 「サスム、です。お約束の猫を連れてきました」 ポンナムと…もう呼ぶ事は出来なくなるんですね? 飽きる程…名前を呼べば良かった そんな後悔今更した所で遅いって解ってた筈なのに 手早く渡して終わりにしよう 「幸せにしてあげて下さい」 温もりを手渡せば、何も解ってないポンナムはキョロキョロしてる 直ぐに立ち去らなければ、泣きそう 僕は…弱いから
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